肥満の薬物療法
食事療法や運動による肥満の解消が困難な場合には抗肥満薬が使用される。近年では、肥満治療の初期段階にも積極的に利用されるようになっているが、やはり食事療法を中心としながらそれを補助する目的で使用されるのが望ましいというのが現状のようである。
一番の問題は、使用者が薬物療法のみに依存してしまうと服用の中止とともに体重が急速に戻りやすいことである。現実には、薬物療法だけで10%以上の体重減少を期待するのは難しいとの指摘もある。副作用もあるため一生服用を続ける訳にもいかず、医師と相談しながら安全かつ有効な利用が望まれる。
抗肥満薬の種類
抗肥満薬にも様々なものが存在する。大きく分けると、摂取エネルギーを抑えるものと、消費エネルギーを増加させるものに分けられるが、前者の方が実用的であるようだ。
食欲抑制剤
摂食中枢に働いて食欲を抑制することによって、体重を減少させることを目的とする。食欲の伝達に関わる神経系に作用することで食欲を抑える。
シブトラミン、フェンテルミン、ベンズフェタミン、ジエチルプロピオン、マジンドール、フェンジメトラジンなどが存在する。
消化吸収阻害剤
腸内で摂取した脂肪の吸収を抑える薬剤としてオーリスタットが存在する。低脂肪食を摂ったのと同じことになるが、脂肪を多量に含む脂肪便や下痢などの副作用が報告されている。
熱産生促進剤?その他
脂肪細胞のアドレナリン受容体を刺激することで脂肪の分解や熱産生の亢進を向上させる薬剤に対する期待があるが、現在のところ実用的なものは出回っていない。
また、脂肪細胞から分泌され、食欲抑制作用を示すホルモンであるレプチンに注目した治療の開発も進んでおり、治験では良好な結果が出ているようである。