マクロビオティック・ダイエット
マクロビオティック・ダイエット
マクロビオティックという言葉を最初に用いた記録が、医学の父ヒポクラテスの著作の中にあります。マクロはギリシャ語で「大きい、長い」、ビオは「生命」の意味。マクロビオティックの実践者は、それが、生命の自然な秩序の中でいかに生きるかということを学ばせてくれる一つの手段と考えます。古くより世界の様々な地域の哲学者や医者は、マクロビオティックという言葉を、自然との調和の中での生活、シンプルでバランスのとれた食事、活動的な昔の生活などを意味するものとして使ってきました。
陰と陽の調和
マクロビオティックの現代的な実践は、1920年代にジョージ?オーサワという日本人によって始まります。オーサワは、玄米、味噌汁、海藻などのシンプルな食事に変えることで、重い病気を自分で治療したという。彼のマクロビオティックに関する著作の核心には、「陰」と「陽」という概念があります。中国の思想では、陰と陽の対立する力が森羅万象を支配すると信じられています。陰は、外へ向かう遠心性の動きを象徴し、拡張へと至ります。一方陽は、内へ向かう求心性の動きを象徴し、収縮をもたらします。さらに、陰は冷たさ、甘さ、消極性を、陽は熱さ、塩辛さ、積極性を表します。マクロビオティックでは、陰陽の力がバランスを保つことで初めて健康が実現すると考えられています。
したがって、マクロビオティック・ダイエットは陰陽の調和を達成する試みと言えます。食べ物は、味、特性、体への影響などに応じて、陰と陽の区分に分類されます。全粒穀物と野菜の二つの食品群は陰陽の特徴が最も穏やか、つまり中庸に近く、マクロビオティックでは重要と見なされます。これらの食品を食べる方が、陰陽のバランスを回復し維持するのがより容易だと考えられるのです。極端な陰、あるいは陽と見なされる食べ物は避けます。
マクロビオティックの標準食
マクロビオティックにおける毎日の食品摂取は、以下のように推奨されます。
全粒穀物を総重量の50-60%摂取。玄米、大麦、キビ、アワ、ヒエ、とうもろこし、ライ麦、小麦、そば等、全粒穀物は陰陽のバランスが最も良い食べ物と考えられる。精製小麦のパスタやパンも少量なら可。
旬の野菜を総重量の25-30%摂取。次の野菜のどれかは毎日摂ることが強く推奨される: キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、ケール、からし菜、カブ、カブの葉、玉ねぎ、大根、カボチャ等。時々摂る野菜は、セロリ、レタス、キノコ、えんどう豆、そら豆等。野菜は軽く蒸したり、少量の無精製調味油(ごま油やコーン油)でソテー。
豆と海藻を総重量の5-10%摂取。特に小豆、ヒヨコマメ、ひら豆、豆腐がおすすめ。ワカメ、ヒジキ、昆布、のり等の海藻はビタミン?ミネラルが豊富で、食事に手軽に加えられる。
スープと汁を総重量の5-10%摂取。野菜や豆の味噌汁が好ましい。
ナッツ、種子、魚(カレイ、ヒラメ、たら等)は週に数回なら可。玄米シロップ、大麦モルト、甘酒を甘味料として使用。玄米酢、梅酢はたまに用いる。天然の海塩とたまり醤油は味付けに。
飲み物の摂取は喉の乾きに従う。穀物茶、タンポポ茶、そばのゆで汁は一般的に好ましい。カフェイン入りの茶は避ける。飲料水と料理水には浄水を使う。
陰陽バランスを適当に保つには、陰陽の特徴が極端な食べ物は避ける。卵や乳製品を含む動物性食品は強い陽の特徴を持つと考えられる。極端な陰の食べ物や飲み物には、精製砂糖、チョコレート、熱帯の果物、サイダー、フルーツジュース、コーヒー、香辛料が含まれる。加えて、人口の着色料、調味料、保存剤で加工された食品は避ける。
食べ物は全て有機栽培が良い。その土地で育った旬の食べ物を使う。
調理や食べ方の注意点
マクロビオティックの考え方は、調理や食べ方にも及びます。
電子レンジでの調理は避ける。
米は土鍋や圧力鍋で調理する。
空腹時にのみ食べる。
食べ物をよく噛む。
規律正しく、くつろいだ正しい姿勢で食べる。
家庭、特に調理場はよく整理する。
マクロビオティックで健康改善
マクロビオティックには、栄養学的にも優れた点がいくつかあります。例えば、無精製の自然食品を重視し、飽和脂肪酸が少なく必須脂肪酸が豊富。そして、比較的低カロリーで食物繊維と複合炭水化物を多く摂ります。マクロビオティックの食事法に従っていれば、体重が増え過ぎて肥満になることはまず考えられません。
マクロビオティックは、他の低脂肪?高炭水化物のダイエットと同様、ある種のガンを防ぐ働きをするでしょう。また、新鮮で未加工の食べ物を重視しているので、食品アレルギーや化学物質過敏症を改善できるかもしれません。