科学的ダイエット
食べ物によるダイエット
一般的ダイエットは前出の式 [食べた量]−[運動量] =[増減量] の[食べた量]に着目して、食事量を制限するものがほとんどです。食べた量を少なくすれば当然やせるだろうと考えるのは自然かも知れません、実際、体重はどんどん減ります。しかし、前に説明したように脂肪は運動しなければ減りません。
では、食事制限で減った体重の中身は何でしょう、これは血?骨?筋肉です、この3つも脂肪と同じくエネルギー源で、しかも脂肪より燃えやすい特質を持っています。つまり、食事制限だけのダイエットは脂肪はそのまま温存し、血?骨?筋肉など人間にとってもっとも重要なものを切り捨てて体重を減らしているだけなのです。いわば、片足を切り落として体重が減ったなどと喜んでいるようなものです。
「りんごダイエット」などの単一食ダイエットも同じです、これは半栄養失調状態を作り出して体重を減らしているに過ぎません。朝食を抜くなどは馬鹿のすることです、前夜の食事を午後8時にとって、朝食を抜き、12時に昼食をとったとしたら16時間ぶりの食事ということになります。この場合、人間の脳は16時間もからだに食べ物が入ってこないということで飢餓状態にあると判断します。前にも説明したように、脂肪は飢餓に備えるエネルギーなので、脳は16時間ぶりに食べたものを優先的に脂肪に変えるよう指令を出します。やせるために食事を控えたのに、逆に太ってしまうという現象が起こるのです。
食事のみのダイエットでは、減った体重の半分以上が筋肉だということが分かります。
運動によるダイエット
運動によるダイエットは食事によるものに比べて、はるかに健全です。とはいっても、前に説明した、脂肪が燃焼するしくみを知らずにやみくもに運動しても効果は上がりません。100m全力疾走しても脂肪は燃えないのです。運動によるダイエットには、脂肪を燃焼させるほかに、脂肪が付きにくい体を作る目的があります。
脂肪を燃焼させる目的の運動はジョギングなどの有酸素運動ですが、脂肪が付きにくい体を作るには、無酸素運動という腕立てふせなどの筋肉を付ける運動を行います。人間は生きているだけで何の運動もしなくてもカロリーを消費していて、この消費カロリーの量を基礎代謝量といいます。筋肉が多ければ多いほど基礎代謝量も多くなり、食べても太りにくくなります。女性の中には、筋肉ムキムキになるのはいやだとおっしゃる方もいると思いますが、女性ホルモンのおかげで女性はムキムキにはならないように出来ています。とはいっても、「長野オリンピックの女子スケート選手のふとももは50cm以上あったではないか」「女子ボディービルダーはどうなんだ」という声も聞こえてきそうですが、彼女たちは、そうなりたくて想像以上のトレーニングをやっているので、我々が少々厳しいトレーニングを行ってもムキムキにはなれません。
リバウンド
リバウンドとは、ダイエットをやめたら元に戻ったという場合です。運動して落とした脂肪がもとに戻ったというのなら「残念でした」ですみますが、食事によるダイエットの場合は深刻です。前にも触れたように食事制限だけのダイエットでは脂肪はそのまま残っていて体重だけが減っているわけですから、体重がもとに戻ったということは、ダイエット前よりも脂肪の量が増えていることになるからです。例えば体重50Kg?体脂肪率25%の人が食事制限のダイエットで10Kg体重が減ってその後リバウンドでもとの体重に戻ったとします。
実際はリバウンド時に増えた10kgの100%が脂肪ということはありませんが、ここでは仮に100%としました。この表を見ると、食事制限だけのダイエットのリバウンドはダイエット前より脂肪量も体脂肪率も増えていることが分かります。
理想的ダイエット
理想的なダイエットとは、(1)食事の量を制限するのではなく、(2)食物の質と食べるタイミングをコントロールすること、(3)脂肪を効果的に落とす運動、?脂肪が付きにくい体にするための運動、この3つを科学的な裏付けのもとに平行して行うことで理想的な体を創ることです。